招宝七郎大現修理菩薩
禅を中心とする曹洞宗の教えを、日本へ招来したのは道元禅師ですが、
その道元禅師が宋へ渡り、八年の苦しい修行を経て、師匠である天童如浄禅師より法を受け継ぎ、
日本へ帰ろうとしたのは、宝慶三年(1227年)冬の寒い日でした。
船が出航するや、粉雪が飛び散り、豪風も吹き荒れ、前途の多難を思わせる時、
忽然と一人の化神が出現しました。
禅師はこれを怪しんで「おまえは何物だ」と聞くと、「我は招宝七郎なり。
あなたが正法を得て郷に帰り、これを広めようという尊い志に感じ、貴方の正法を護持し、
いく末までもお助けしたいと思い、あなたに従う者なり」と答え、
更に禅師が「汝、真に神ならば、神力を現してみよ」と、問いただしてみると、
この化神はたちまち三寸ばかりの白い蛇になり、禅師の鉢(応量器)のうちに入り、
身を隠してしまったということです。
ですから、大現さまは道元禅師様について中国から日本へ随って来た守護神なのです。
写真でもお分かりのようにシナ風の服装をしています。
ちなみに中国淅江省の海辺に招宝山という峻峰があり、その山に航海の安全を祈る神、
七郎権現が奉られていたそうです。道元禅師の守護神ということは、禅師の法が堅固で、
広まりゆくのを守護し、その法に従い、導かれていく信者、更にはそれらの人々
の集う場所(寺)も守護して下さるということを意味しています。