さわやか法話 15  布施行

 今の社会は便利になったもので、情報や会 話のやりとりをインターネット、 携帯電話のメールの交換などで行っています。 面と向うよりうまく自分の考えを伝えられるようです。こうした考えにも一理あるようにも思えます。  しかし、目に見えない相手との関係の方が楽であるあまり、目に見える人との関わりが希薄になっています。 人間関係の問題は、簡単に述べられない難しさがありますが、宗教者の立場から言うと、 現代人には布施の心が不足していると言えるのではないでしょうか。 宗教で言うところの布施と聞くと、法事の後でのお金のやりとりを想像される方が多いのですが、  それは現代の貨幣経済の中で共に生きるための方便としての布施の形であって、すべてではないのです。 布施の心とは見返りを求めない心のことです。見返りを期待する心は、単に自分のエゴでしかありません。 相手を許し、自分をも許してお互いのあるがままを受け入れて接する時、初めて本当の意志の疎通が図れるのではないかと思います。 互いに個性を尊重し、笑顔で接することには利害はなく、最も簡単な布施と言える思います。
 お釈迦さまはこの布施行のことを[和顔愛語の布施行」と説いておられます。
                                      光雄