法話 25  普回向文

 私は、お寺巡りや、仏さん、野の地蔵さんなどを訪ねてお参りして歩くのが大好きです、 と言う初老の方の話です。「あっちこっちお参りして、お賽銭を上げ、手を合わせてみるが、どうも心がすっきりしない。 お経でもあげれば良いが、それもよく知らないし、どうすればよいですか」と言う。 つまり、せっかくお参りしても、手を合わせるだけではその功徳が心に残らない。 何か心を統一してお唱えごとをしたいのだが、お経では長すぎるし、よく憶え切れない。 そこで手短でしっかりお参りできる霊験新たかな呪文を伝授してくれということなんです。 私は『普回向文』をお教えしたのです。『回向文』というのは、私たちがお経を読んだ後、 座禅や礼拝をした後、また、食事などした後でさえお唱えする文句があり、 このお経はどんなお経でどんな目的があり、どんな教えを学び、どんなご利益、 ご功徳を頂いたらよいのかといったことを簡潔にまとめられている文句なんです。 法事を勤めたり、お盆のお経をご回向する時なども、必ずお経の後に和文で、 それぞれの回向文をお唱えしておりますから、どうぞ心してその回向文の意味を汲み取るよう注意してみて下さい。
 そこでその回向文とは
『願わくは、この功徳を以って普く一切に及ぼし、 我らと衆生と皆ともに、仏道を成ぜんことを』という回向文です。 毎日の仏壇へのお参りにも、線香をあげ、手を合わせたら「願わくは・・・」と唱えることです。 普回向の『普』とはあまねくということで、いつでも、何処でも通用するということですから、 われら仏教徒ならば、誰でも心にきざみ、お唱えできるようにしましょう、ということになります。 どうぞ覚えてみてください。その意味と解説は次回に回します。
                              栄雄