仏教では生老病死の苦しみということを言
いますが、人生の苦しみの一つに対人関係の苦しみがあります。
これは病気でも老いでもない、いわゆる人間が人間ゆえにかかえる苦しみではないでしょうか。
私自身もこれには悩まされております。しかし、僧侶になり、いろいろ考える時間ができ、
今では対人関係は人生を学ぶ機会として楽しむものだと思っております。
よくいう言葉に「一期一会」がありますが、この言葉は正に人生を学ぶための対人関係を表した言葉だと思います。
また、アメリカのセラピスト、ジェームズ・レッドフィールドの「聖なる予言」という小説に「偶然の一致」という語句があります。
これは、自分が人生の中で出会った人は、目が合うだけでも、全て自分に何らかの影響を持つ人であり、
回り道に感じても必ずよき方向へ導く存在であると。そして、このことは相手にも同様であると。
現象は皆「偶然の一致」によって結ばれる、というのです。まあこれほど劇的なことは、人生では自覚しにくいにしても、対人関係の参考にはなります。
仏教でも、人は皆、菩薩様の仮の姿であり、一人一人の人生が、菩薩様がいずれ悟りを開くための修行になっているという考えがあります。
つまり、我々一人一人が他の人の為に生きていると言えるのではないでしょうか。そう思うと少しは楽に生きられるのではないでしょうか。
(昭雄)
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