さわやか法話63 お盆です

 皆様はお盆の間、実家に帰省されたりご親戚を迎えられたり、それぞれの慌ただしさから解放され一息ついておられる頃かと思います。今回はそんなお盆にまつわるお話をしたいと思います。
 現代は若い世代を中心に宗教離れ、不信心が叫ばれておりますがはたしてそうでしょうか。というのもある仏教書のお盆の記述を読んでいる時に感じたことですが、それによるとお盆の始まりは 七夕からだそうです。一般的にお盆は十三日からですが、古来は七夕があの世の死者をこの世に迎える行事の日だったようです。ですから色とりどりの短冊はお盆にお寺に飾る施食旗の一部と同じなのです。仏教では六道の世界観がありますが、七夕の夕方に迎え火を焚くと天界、人界、修羅界、畜生界、餓鬼界、と順番に帰ってくると十三日が最後になるので今では十三日で定着したということです。しかしながら一般の方がいちいち六道に基づき生きているわけではないのでこれは参考知識にしていただければいいです。それよりも大事なことは人が生家なり親元に帰省する根拠です。多くの人は日頃、世間の荒波にストレスを溜めているので、お盆の実家でのひと時がその後の活力にもなっていると言えます。
 両親、祖父母全てがお互いを癒すのです。いずれその中から寿命を迎えると今度はかって癒されたその人を偲ぶためにまた帰って線香を立てます。先祖供養はまさにこの繰り返しで、その長さが子孫繁栄なのです。ですからお経やお寺にあまり触れていない世代でも、その心の内には自然と先祖を敬う気持ちが宿っていると考えるべきなのです。