さわやか法話 67 「怨みに怨みを以て応ずれば・・・・・・」

 令和二年がスタートして既に半年が過ぎようとしております。思い起こすに、今年は東京オリンピック開催で日本中が沸き立っているはずでした。私も数年前、途中で挫折したとはいえ、外国人観光客に対応しようと英会話を習っておりました。今思えばこの挫折も不幸中の幸いです。
 ところで、上半期の衝撃的悲しみとしては志村けんさんの急逝がありました。一月頃からの所謂コロナ感染では多くの方が亡くなっております。皆さん今年亡くなるはずではなかった方々でしょう。死というものはどの様な理由があろうと本人、関係者共に今であってほしくないと願う事の一つでしょう。そんな折、ネットの古い動画でドリフターズに纏わる話がありました。これは先にリーダーであった「いかりや長介」さんが亡くなった後、「加藤茶」さんが思いを語ったものです。ドリフ現役時代、ネタ合わせ等口論が絶えなく、対立していたそうですが、亡くなってから「今の俺があるのは長介さんのお蔭だったと感謝している」というものでした。「失ったことで許せるようになった」とも言っておられました。対立し合って和解できないと思っても相手が亡くなって気づく有難みがあるのでしょう。
 法句経という経典に「
怨みに怨みを以て応ずれば怨みは止まず 怨み抱くことなきにより世の人の怨みは止む これ不変の真理なり」という教えがあります。対立する相手が亡くなることで気づかされる事が多いですが、お互い生前に怨む心から解放されるように努力したいと思います。